Japanese
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特集 腎疾患の診断と治療 最前線
I.総論:症候と検査値異常からみた診断へのアプローチ
8.高マグネシウム血症,低マグネシウム血症
Hypermagnesemia and hypomagnesemia in clinical practice
志水 英明
1
Shimizu Hideaki
1
1大同病院腎臓内科
キーワード:
イオン化マグネシウム
,
高マグネシウム血症
,
偽性昏睡
,
低マグネシウム血症
,
リフィーディング症候群
Keyword:
イオン化マグネシウム
,
高マグネシウム血症
,
偽性昏睡
,
低マグネシウム血症
,
リフィーディング症候群
pp.44-49
発行日 2024年12月15日
Published Date 2024/12/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001572
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1 はじめに
マグネシウムイオン(Mg2+)は細胞内で2番目に多い陽イオンであり,生命体のエネルギー利用において最も重要な要素であり,ATPからのエネルギー放出にはMgが必要(ATPaseの補因子として働く)であるにもかかわらず,Mgは臨床の場面では測定されることの少ない「無視された電解質」といわれていたが,近年のその重要性が再認識されている1)。体内総量(約24 gと分子量24.3に近い)の半分が骨に,もう半分がそのほかの細胞内に存在し,細胞外液に存在するMgはわずか1%である。そのため血清Mgが正常であっても,細胞内では欠乏している可能性もある2)。Mgは腸管のtransient receptor potential melastatin-6/7(TRPM6/7)を介して吸収され,腎臓での再吸収により調節されている。糸球体で濾過されたMgの70%が糸球体から濾過され,濾過されたMgの20%が近位尿細管から,70%がヘンレループの太い上行脚から吸収され,5~10%が能動的に遠位曲尿細管からMgチャネルTRPM6を通して再吸収される3)。腎臓でのMgの調節は主にヘンレループの太い上行脚と遠位曲尿細管でされる。
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