- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
集中治療領域の重症患者を診療する場合,バイタルサインや身体診察は大切であるが,血液ガス分析も比較的迅速に結果が出る項目であり,重要な診療ツールである。血液ガス分析には目の前の患者の生理学的状態を解釈するための情報が多く含まれており,その解釈・判断が患者の生死を分けることもあり得る。血液ガス分析における酸塩基平衡は,1900年代の初めに提唱されたHenderson-Hasselbalchの式を用いて判断されるようになった(Physiological approach)。1970年代より,Stewart approachにおける酸塩基平衡の解釈が注目されてきている。
本稿では,実際の症例を検討しながら,血液ガス分析において,従来の血液ガス解釈(Physiological approach,Base excess approach)と新しい解釈〔Physicochemical approach(Stewart approach)〕の違いを解説し,その有用性を述べる。
Summary
●酸塩基平衡異常の考え方にはPhysiological approach(Boston approach),Base excess approach(Copenhagen approach),Strong ion/Physicochemical approach(Stewart approach)の3つに大きく分かれる。
●Stewart approachでは,PaCO2,強イオン差(SID),弱酸の総和(Atot)の3つがポイントとなる。
●Stewart approachを用いることで,タンパク(特にアルブミン),リン酸,電解質の評価ができ,目の前の患者の詳細な酸塩基平衡異常を知ることができる。
Copyright © 2015, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.