特集 内分泌・代謝・電解質
2.代謝性アルカローシス—原因の診断と治療
北村 浩一
1
,
藤谷 茂樹
2,3
Koichi KITAMURA
1
,
Shigeki FUJITANI
2,3
1練馬光が丘病院 総合診療科
2東京ベイ・浦安市川医療センター
3聖マリアンナ医科大学 救急医学
pp.457-468
発行日 2015年7月1日
Published Date 2015/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200182
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ICUにおいて,血液ガス分析の理解は患者の全体像を把握するうえで必須である。ICUにおいてはアシデミアが注目されがちであるが,実はアルカレミアの患者も多い。なかでも代謝性アルカローシスはICUで最も多く認められる酸塩基平衡異常であり,すべての臨床医が理解しておくべき病態である。ここでは,代謝性アルカローシスについて,成り立ちから最終的には治療に至るまでの過程をエビデンスに基づいて解説する。
Summary
●代謝性アルカローシスは,ICU入室者の酸塩基平衡異常で最も多いといわれている。
●代謝性アルカローシスは,形成因子(原疾患)と維持因子(有効循環血漿量減少,Cl欠乏,低K血症,腎機能障害)に分けて考え,治療もそれぞれの因子に対して行う。
●重症の代謝性アルカローシス(pH>7.55)の死亡率は45%と高値であるにもかかわらず,特徴的な症状が認められず見逃されやすい。
●鑑別は,病歴聴取,身体所見では血圧と循環血漿量,検査は尿中Cl,尿中AG,尿中pHを利用して行う。
●治療は,重症度の把握と原疾患への介入,続いて維持因子の改善を行う。
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