特集 小児の移植医療
同種造血細胞移植
移植片対宿主病(GVHD)
栁町 昌克
1
YANAGIMACHI Masakatsu
1
1神奈川県立こども医療センター血液・腫瘍科/輸血科/治験管理室
pp.841-846
発行日 2023年5月1日
Published Date 2023/5/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000919
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はじめに
移植片対宿主病(graft versus host disease:GVHD)は,ドナー(graft)由来の免疫細胞によるレシピエント(host)の臓器に対する免疫反応であり,多臓器の機能障害をひき起こす1)。GVHDは同種造血細胞移植後において,原疾患の再発や感染症と並んで重要な致死的合併症である。一方で,固形臓器移植においても,移植臓器に含まれるドナー由来の免疫細胞によるGVHDは起こりうる。小児の小腸移植で10%程度,肝臓移植で1.5%程度のGVHDの合併が報告されている2)。また,輸血用血液製剤に対する放射線照射が徹底されるまでは輸血後GVHDも重要な合併症であった。本稿では,造血細胞移植後のGVHDについて解説するが,GVHDの病態解明の進歩や新規治療薬については,臓器移植医療分野とも共有できるものと考える。
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