特集 ICUで遭遇する血液疾患
Part 2 血液内科のクリティカルシンドローム
3.血液疾患およびその治療に伴う重症合併症
【コラム】血管内リンパ腫—正確な診断がつけば治癒を目指し得る
島田 和之
1
Kazuyuki SHIMADA
1
1名古屋大学大学院医学系研究科 血液・腫瘍内科学
pp.352-356
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200167
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血管内リンパ腫intravascular lymphomatosis(IVL)は,主として全身の血管内に腫瘍細胞が増殖する節外性リンパ腫の一型である。そのほとんどがB細胞性リンパ腫であることから,現行のWHO分類1)においては,血管内大細胞型B細胞リンパ腫intravascular large B cell lymphoma(IVLBCL)として記載されている。悪性リンパ腫の一般的特徴であるリンパ節腫脹を欠き,臨床症状も発熱や血球減少など非特異的なものに限られるため,疾患の認知度が向上した現在においても,しばしば診断に苦慮することが多い疾患である。
本稿では,特集テーマ“ICUで遭遇する血液疾患”に合わせて,本疾患の臨床症状,診断法,治療法について概説する。
Summary
●血管内リンパ腫には特異的な臨床症状はなく,診断に苦慮することが少なくない。
●一方,正確な診断がつけば治癒を目指し得るため,本疾患の“知識”と“疑うこと”が大切である。
●診断においては骨髄穿刺/生検が多く施行されているが,最近ではランダム皮膚生検,経気管支肺生検が注目されている。
●我が国でR-CHOP+R-high-dose MTX療法の前向き試験が進行中であり,結果が待たれる。
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