特集 ICUで遭遇する血液疾患
Part 2 血液内科のクリティカルシンドローム
3.血液疾患およびその治療に伴う重症合併症
3-4.Epstein-Barr virus関連T, NKリンパ増殖症—原因不明の炎症の持続,血球貪食症候群をみたら,本疾患を疑い,早期に介入を
新井 文子
1
Ayako ARAI
1
1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 血液内科
pp.357-361
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200168
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Epstein-Barr virus関連T, NKリンパ増殖症EBV-associated T or NK-cell lymphoproliferative diseases(EBV-T/NK-LPDs)とは,かつての慢性活動性EBウイルス感染症chronic active EBV infection(CAEBV)を含む,EBVに感染したT細胞もしくはNK細胞の腫瘍である。高い致死率を示したが,近年適切な診断と治療により長期寛解を得る例が報告されるようになった。しかし,内科以外の領域では疾患の周知はいまだ十分ではない。EBV-T/NK-LPDsは多彩な症状を示し,患者は血液内科以外の科を初診することが多い。特に肝不全,播種性血管内凝固disseminated intravascular coagulation(DIC)をきたし救命救急センターへ搬送されることもある。本稿では,この重篤な疾患を見逃さないため,臨床医に必要な事項を述べる。
Summary
●Epstein-Barr virus関連T, NKリンパ増殖症とは,EBVに感染したT細胞もしくはNK細胞の腫瘍であり,かつての慢性活動性EBウイルス感染症を含む。
●我が国を中心とする東アジアからの報告が多い。
●炎症による臓器障害で発症するが,経過とともにより悪性度の高いリンパ腫へ進行,もしくは血球貪食症候群を発症し,適切な治療がなされないと致死的経過をとる。
●多彩な症状で発症し,患者は救命救急センターを含む血液内科以外の診療科を初診することが多い。
●根治療法は同種造血幹細胞移植である。
Copyright © 2015, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.