特集 ICUルーチン
第3章 ICUの環境整備・スタッフ関連
18.「特集 ICUルーチン」解説―自分たちのルーチンを見直そう!
長谷川 隆一
1
Ryuichi HASEGAWA
1
1公立陶生病院 救急部
pp.307-309
発行日 2014年4月1日
Published Date 2014/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100656
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冒頭の「ルーチンの功罪」では,ルーチン化の“罪”を強調しすぎた感があるので,ここではまず“功”を強調してみようと思う。実際に,さまざまな作業や日常生活のルーチン化の目的は,考える時間を節約し,その他の作業に十分な時間を費やすことで,全体の質を高める,維持する,効率を上げる,無駄を省く,などを目的としている。また,ルーチン化は一つ一つ選択するストレスを減らし,慣れた作業を繰り返すことで,精神的・肉体的疲労を最小限にとどめることができ,人間の行動に都合のよいことが多い。以前,CNNのトピックスで,‘facebook' CEOのザッカーバーグ氏は,服を選ぶ時間を節約するために同じTシャツを20枚所持し,毎日同じ服装をしていたという報道を見た。忙しくなればなるほど,「服を選ぶ」という余計なことを考えずに仕事をこなしたいという気持ちになるのには共感できる(ただし,毎日同じ服を着ている人間が身近にいたらどう思うだろうか)。
おそらく,多くの“ICUのルーチン”もそのような考え方から始まったはずである。しかし,現在のICUにおける診療やケアのルーチンは非常に多くなってしまい,当初の意図とは異なり,それらを遂行することに,私たちは多くの時間と労力とコストを費やしている。それらのルーチンが,実は根拠に乏しく,さほど有益といえず,時に有害であるならば,すみやかに改め,「潔くルーチンを手放す」か「根拠に基づいた質の高いルーチンを推進する」よう改善すべきであろう。問題は,ICUのルーチンの背景に「どのような根拠があるのか」について,これまであまり考えてこなかったことである。
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