連載 ICUルーチン
ICUにおける体重測定:ルーチンに伴う脆さ
村田 洋章
1
,
讃井 將満
2
Hiroaki MURATA
1
,
Masamitsu SANUI
2
1東京慈恵会医科大学医学部 看護学科
2自治医科大学附属さいたま医療センター 集中治療部
pp.533-537
発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100686
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
読者のみなさんは以下のような疑問をもったことはないだろうか。患者の体重をルーチンで測定するICUが多いのか,あるいはしないICUが多いのか。どのような目的で体重測定を行うのか。体重測定は,体重測定機能付きベッド(スケールベッド),吊り上げ式(懸架式),どちらの方法で行うのか。体重測定に伴う危険はないか。そもそもなぜ体重測定を行うのか,その意義は何か。水分管理の指標として体重を測定する場合,日々の水分バランスの算出に加えて体重測定が必要なのか,など疑問は尽きない。
筆者は,体重測定をルーチンで行うICU,行わないICU,どちらにも勤務した経験があるが,体重測定を行うICUではスタッフは何の疑問ももたずに体重測定を行っているように見えたし,同様に,行っていないICUでは行わないことにスタッフは何の疑問ももっていないように見えた。このように当然と考えて行うことにはそれにふさわしい根拠があるのであろうか。本稿では,特に,水分管理の指標としての体重測定に焦点を絞り,その実態,意義,有用性,安全性について考察してみたい。
Summary
●体重測定は本邦の多くのICUにおいて,ルーチンに行われているプラクティスである。
●水分バランス計算と体重測定変化との良好な相関を示すデータはない。
●水分バランス計算に加えてルーチンに体重測定を行うことの有用性,安全性,費用対効果は明確にされていない。
Copyright © 2014, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.