特集 ICUルーチン
序章
ルーチンの功罪
長谷川 隆一
1
Ryuichi HASEGAWA
1
1公立陶生病院 救急部
pp.159-162
発行日 2014年4月1日
Published Date 2014/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100638
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ICUは,その半世紀にわたる歴史のなかで,多様で高度な医療技術を駆使して,多くのマンパワーとコストを消費しながら,密度と頻度の高い医療を展開することで,通常の管理や治療では救命困難な重症患者の予後を改善してきた。その結果,複雑で頻回のルーチンとされる多くの業務が形成され,現在まで続いてきた。しかし一方で,ICUの医療は肥大化し,過剰な治療,過誤や合併症の発生や医療費の高騰など,かえって患者の負担や不利益を増加させたことも事実である。1990年代後半からは,医療安全やコストの視点が取り入れられ,ICUの医療を根拠に基づいて標準化・スリム化しようという動きが生まれ,少しずつルーチンを見直そうという流れが広まってきている。
2014年1月に開催されたSociety of Critical Care Medicine(SCCM)の年次学術集会では,4つのICU関連の学術団体が共同で“Choosing Wisely”というキャンペーンを催し,“Five Things Physicians and Patients Should Question”という声明を発表した。そのなかで「定期的な検査オーダーの禁止」などが明示され,今後ルーチンの見直しは大きな流れになる可能性がある。
ただし,すべてのルーチンが無意味というわけではなく,根拠に基づいて “妥当性”を考慮しつつ医療を行うことが重要であろう。
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