特集 ICUルーチン
第3章 ICUの環境整備・スタッフ関連
17.バーンアウト予防―医療崩壊にもつながるバーンアウトは,組織として予防に取り組むべし
長島 道生
1
,
武居 哲洋
2
Michio NAGASHIMA
1
,
Tetsuhiro TAKEI
2
1自治医科大学附属さいたま医療センター集中治療部
2横浜市立みなと赤十字病院 集中治療部
pp.299-306
発行日 2014年4月1日
Published Date 2014/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100655
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バーンアウトburnoutとは,もともと電球などが焼き切れた状態を示す用語であり,これが転じてドラッグ常用者の抜け殻のような状態を意味するスラングとして用いられていた。これをFreudenberger1)が,1970年代にヒューマンサービス従事者*1の疲弊を描写する表現として用い,バーンアウトは広く周知されることとなった2)。
ヒューマンサービス従事者のなかでも,特に,医師,看護師,教員などにバーンアウトが多いことが知られている3)。これらの業種は,共通の特徴をもっている。まず,クライアントからの要求に誠実に対応しなければならないという倫理観が強く存在する。さらには,過重労働になりがちで,クライアントとその家族からの過剰な期待が強い精神的負担となっている。これらが,バーンアウトの原因になると考えられている。
そこで本稿では,集中治療にかかわる医療従事者におけるバーンアウトの実態を文献的に検証し,予防策をルーチンとして取り入れるべきかを考察する。
Summary
●バーンアウトは職種により発生頻度が異なり,医療従事者は発生頻度の高い職種である。
●バーンアウトを測る国際的に認知されたスケールは,Maslach Burnout Inventoryである。
●ICUにおけるバーンアウトの関連因子は医師と看護師でやや異なるが,同僚や他職種とのチームワーク,労働時間,終末期治療方針の決定などが関連因子となり得る。
● バーンアウトは医療過誤や患者死亡率に影響する可能性があり,各施設で適切な予防策がとられるべきである。
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