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COPD急性増悪にはさまざまな定義1,2)が提唱されていたが,2006年GOLD*1のコンセンサスレポート3)で「COPDの増悪は,COPD病期の自然な進行のなかで起きる現象であり,呼吸困難,咳,喀痰といった症状が日常の変動を超えて急性に悪化し,治療の変更を必要とする状態」と定義された。COPDの重症度が高いほど急性増悪の頻度が高く4,5),急性増悪の入院死亡率は3~10%,特にICU入室死亡率は15~24%と報告され,予後の悪い疾患とされる6,7)。救急外来など日常臨床で比較的よく経験するCOPD急性増悪であるが,各種のガイドラインを参考に治療していることが現状と思われる。本稿では,その原因,病態,薬物療法(気管支拡張薬,コルチコステロイド,抗菌薬,去痰薬),非薬物療法〔酸素療法,非侵襲的陽圧換気(NPPV),胸部理学療法〕について,エビデンスに基づいてレビューする。
Summary
●急性増悪の原因としては,細菌性,ウイルス性,非感染性がある。
●病態としては,気道炎症や浮腫に伴う気流閉塞,動的過膨張が重要である。
●薬物治療としては,A(抗菌薬)B(気管支拡張薬)C(コルチコステロイド)アプローチを行う。
●気管支拡張薬は肺機能を改善し,入院期間を短縮させ,コルチコステロイドとともに治療の要である。
●コルチコステロイドは症状,肺機能,酸素化,治療失敗率,入院期間を短縮させる。経口投与が推奨される。
●抗菌薬は,中等症以上の急性増悪,喀痰の膿性化,人工呼吸器管理が必要な患者において,有効である。
●酸素療法は有効であるが,投与にて高二酸化炭素血症が起こり得ることを念頭に,酸素飽和度88~92%を目標に調節する。
●NPPVは死亡率,挿管率,治療失敗率を減少させる。高度の呼吸困難,pH≦7.35およびPaCO2>45mmHg,呼吸数>25回/minの場合,早期の導入がすすめられる。
●COPD急性増悪の人工呼吸からの離脱において,NPPVは有効である。
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