Japanese
English
特集 呼吸器疾患の診断のロジック
拘束性肺疾患
Restrictive lung diseases
田村 昌士
1
Masao Tamura
1
1岩手医科大学第三内科
1The IIIrd Department of Internal Medicine, school of Medicine, Iwate Medical University
pp.927-933
発行日 1987年9月15日
Published Date 1987/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205115
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.拘束性肺疾患の概念
呼吸のための換気運動は肺をとりまく胸壁の呼吸筋,横隔膜などの収縮,弛緩によって行われ,肺は受動的に膨脹,収縮しているだけである。いま何らかの原因で肺の膨脹が妨げられたとすれば,換気が十分に行われなくなり,このような状態を呼吸生理学的には拘束性障害(restrictive disorders)とよぶ1)。拘束性障害の原因としては,胸郭,横隔膜,腹壁,頸部,背部の呼吸筋——呼吸生理学的にはchest wall2)——の運動不全と肺自身の膨脹不全に大別される。したがって,広義には拘束性肺疾患(restrictive lung diseases)はこれらすべての原因によって肺の膨脹不全を起こす場合を指すが,狭義には肺組織,とくに肺間質の炎症,線維化などにより肺の膨脹不全を来たす場合である。ちなみに胸膜病変による拘束性障害は前者の範疇に入れられ,拘束性胸壁疾患として取り扱うべきと考える。
拘束性肺疾患を原因別に分類すると,表1のようになる。これらは拘束性肺疾患の代表的疾患であるが,間質性肺病変はCrysta1ら3)によれば,100以上の疾患にみられるほど,臨床的には日常多く遭遇する。
これらの拘束性肺疾患の診断に関連して,まず肺の拘束性障害について理解しておく必要があろう。
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.