特集 神経集中治療
10.脳脊髄液ドレナージの管理―感染の予防と抜去のタイミング
川崎 浩遠
1
Hiroto KAWASAKI
1
1Iowa大学 神経外科
pp.619-628
発行日 2013年7月1日
Published Date 2013/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100569
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脳脊髄液のドレナージは日常の脳神経外科疾患の治療に積極的に用いられている。その適応は,水頭症をはじめ頭蓋内圧亢進を伴う疾患と多岐にわたるが,急性期や意識障害がみられるときに行われることが多い。脳室ドレナージと腰椎ドレナージlumbar drainageが代表的な手技であり,頭蓋内圧のモニター,頭蓋内圧をコントロールするための脳脊髄液の排液,検査のための脳脊髄液の採取などの目的で行われる。
本稿では,救命と脳機能の保存のために有効な手段でありながら,管理法などについて一致した見解のない脳脊髄液ドレナージについて,管理の基本と感染予防について解説する。
Summary
●脳室ドレナージと腰椎ドレナージは急性水頭症を伴う症例や一時的に頭蓋内圧や脊柱管内圧をコントロールする必要のある症例で積極的に用いられている。
●挿入の手技や圧のコントロール,感染の予防など,ドレナージの管理については一致した見解のないものが多い。
●管理の基本は,細菌の侵入を防ぎながら適切な量の脳脊髄液を排液し,必要がなくなったらすみやかにカテーテルを抜去することであるが,その詳細については疫学的に証明されたガイドラインは現在のところ存在しない。
●感染予防については,カテーテル挿入から抜去までの手順とそれを医療従事者が遵守しているかどうかの調査を含めたプロトコルの設定と厳格な施行が効果を上げている。
●脳脊髄液ドレナージの管理についての標準的なプロトコルを確立するには,大規模な前向き研究が必要である。
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