Japanese
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特集 脊椎脊髄の感染・炎症
脳脊髄液の所見
Cerebrospinal Fluid Findings in Meningitis and Spinal Infection
亀井 聡
1
Satoshi KAMEI
1
1日本大学医学部内科学系神経内科学分野
1Division of Neurology, Department of Medicine, Nihon University School of Medicine
キーワード:
脳脊髄液(cerebrospinal fluid)
,
髄膜炎(meningitis)
,
脊髄硬膜外膿瘍(spinal epidural abscess)
Keyword:
脳脊髄液(cerebrospinal fluid)
,
髄膜炎(meningitis)
,
脊髄硬膜外膿瘍(spinal epidural abscess)
pp.573-580
発行日 2015年6月25日
Published Date 2015/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200157
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はじめに
脊椎脊髄の感染として,髄膜炎・硬膜外膿瘍・椎体椎間板炎などが挙げられる.これら感染症において,腰椎穿刺による脳脊髄液の所見は,疾患の診断や鑑別をするうえできわめて重要である.しかも,髄膜炎は初期治療が患者の転帰に大きく影響する神経学的救急疾患(neurological emergency)であり,早期診断に基づく早期の適切な治療開始が不可欠である.しかし,これら疾患の病因診断が確定されるまでには一定の時間を要する場合も多い.したがって,患者の発症経過・症候・神経放射線学的な検査所見を含む各検査所見から疾患・病因を推定し,直ちに治療を開始する.この早期の推定診断において,脳脊髄液所見は,病因推定上も,また治療反応性の判断の点からも重要で,各疾患におけるその所見を十分に理解しておくことが必要である.しかし,一方で腰椎穿刺には適応があり,その施行が禁忌となる場合もある.この施行適否を理解せずに実施した場合,ときに脳ヘルニアを惹起したり,髄膜炎を併発させたりして,患者生命に危険が及ぶ.このような現況を踏まえ,本稿では,代表的な感染症における腰椎穿刺による脳脊髄液検査の適応,さらに各疾患の脳脊髄液所見について概説する.
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