Japanese
English
総説
脳脊髄液の循環
The Dynamics of Cerebrospinal Fluid Circulation
佐藤 修
1
Osamu SATO
1
1東海大学脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Tokai University School of Medicine
キーワード:
Cerebrospinal fluid
,
Formation
,
Absorption
,
Circulation
Keyword:
Cerebrospinal fluid
,
Formation
,
Absorption
,
Circulation
pp.211-217
発行日 1976年3月10日
Published Date 1976/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436200419
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Ⅰ.緒言
脳脊髄液(以下髄液と略す)に関する記載は,旧くHippocrates(B.C.460-375)にはじまる.すでに彼は硬膜下,および脳の中に液体の存在することを知っていたとされる.また,あらためて脳室内に液体が貯溜していることを述べたのはGalen(A.D.129-200)であり,彼は脳の表面が液体により潤されていることも認めていたようである.
時代はさらに下るが,Valsalvaは1692年,犬の脊髄周の膜を切開して約30ccの液体を得,髄液の存在を確かめたと言われている.しかし,髄液について,科学的な正確な記述を初めてなしたのはイタリアのDomenico Cotugno(1764)であり,髄液に当時the liquor Cotugniと言う名称を奉られたことからも,彼の功績の大なることがわかると言うものである,ところが,その後しばらくは,彼のこの業績も報いられるところ必ずしも十分ではなく,19世紀になってMagendie(1824)が剖検で,正常でも髄液の存在することを確かめ,Cotugnoの偉大な業績があらためて大きくとりあげられるに至ったのである.
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