症例検討 脳神経外科緊急手術
くも膜下出血と頭部外傷の重症度評価―経時的な変化に対応し,シームレスな神経集中治療を行う
黒田 泰弘
1
Yasuhiro KURODA
1
1香川大学医学部 救急災害医学
pp.158-162
発行日 2013年2月1日
Published Date 2013/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101750
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脳神経外科緊急手術のなかで,麻酔科医が最も気を遣う病態(=周術期管理がうまくいかないと,予後が悪化する可能性がある病態)は,くも膜下出血および脳ヘルニア徴候である。さらに,頭蓋内圧が亢進している状態の管理には,一定の注意が必要である。
緊急手術では,病態の緊急度および重症度を,把握/評価しなくてはならない。緊急度とは,「死亡,あるいは各臓器・組織が機能不全や機能廃絶を起こすまでの時間的余裕」を意味している。緊急性の高い病態への対応を誤ると,死に直結する。それに対して重症度は,「生命予後や各臓器,四肢等の機能予後の程度を示す指標」であり,主要な疾患ごとにスコアリングされているが,必ずしも時間的余裕のなさ(=緊急度)を示すものではない。
くも膜下出血では,緊急度および重症度はさまざま(歩いて来院する例から心肺停止例まで)であり,また,これらが繰り返し,急変する可能性があることが特徴である。これに対し脳ヘルニア徴候は,緊急度も重症度もきわめて高く,時間的余裕もなく,緊急減圧術などの処置が必要となる。
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