特集 術後管理
【コラム】周術期未分画ヘパリン使用上のピットフォール
阿部 建彦
1
,
讃井 將満
1
ABE, Tatsuhiko
1
,
SANUI, Masamitsu
1
1東京慈恵会医科大学 麻酔科 集中治療部
pp.330-332
発行日 2012年4月1日
Published Date 2012/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100420
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
未分画ヘパリンはその作用消失時間の短さから,急性期の抗凝固薬として欠くべからざる薬物である。しかし,抗凝固作用という主作用を確実に発揮しつつ,出血性合併症を未然に防ぎ,安全に使用するのは難しい。問題点として
・何を指標に投与量を調整するか(何を抗凝固作用のモニターとするか)
・患者によって未分画ヘパリンに対する感受性の差異が大きい(ヘパリン抵抗性を示す患者がいる)
・標準的投与プロトコルが確立されていない
・結果として,至適血中濃度に到達し,安定するまでに時間を要する
・ヘパリン誘発性血小板減少にまつわる諸問題(診断,管理)
などが挙げられ,それぞれ臨床家の頭痛の種になる1~3)。
本稿では,第一に挙げた抗凝固作用モニタリングを,活性化部分トロンボプラスチン時間activated partial thromboplastin time(APTT)と活性化凝固時間activated clotting time(ACT)のいずれで行うべきかという,決して扱いやすい薬物ではない未分画ヘパリンの一側面を,症例を通してmorbidity and mortality的に学んでみたい4)。
Copyright © 2012, "MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD." All rights reserved.