原著
ヒト胎盤絨毛組織cytosol分画によるヘパリンの不活性化
飯岡 秀晃
1
,
赤田 忍
1
,
山田 嘉彦
1
,
島本 太香子
1
,
森山 郁子
1
,
一條 元彦
1
Hideaki Iioka
1
1奈良県立医科大学産婦人科
pp.1133-1135
発行日 1992年9月10日
Published Date 1992/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901018
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ヒト胎盤絨毛組織より分離したcytosol分画を用いて,そのヘパリンの不活性化作用について検討し,以下の成績を得た。
(1)ヒト胎盤絨毛組織より分離したcytosol分画には,カルシウム再加時間,部分トロンボプラスチン時間,プロトロンビン時間およびトロンビン時間を短縮も延長もする活性は認めなかった。したがって,cytosol分画には,凝固促進活性ならびに凝固阻止活性を認めないことが示された。
(2)ヒト胎盤絨毛組織より分離したcytosol分画とともにヘパリンをincubationすると,ヘパリンによる部分トロンボプラスチン時間延長作用は減少した。したがって,cytosol分画には,ヘパリン不活性化活動性を認めることが示された。
以上より,絨毛間腔にて母体血流との直接の接点となるヒト胎盤絨毛組織にはヘパリン不活性化物質が存在し,血液凝固学的に重要な役割を果たしていることが示された。
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