特集 End-of-life
4.終末期医療と法―「刑法」でも「民法」でもなく,医療のための「医法」の整備を
井上 清成
1
INOUE, Kiyonari
1
1井上法律事務所
pp.29-34
発行日 2012年1月1日
Published Date 2012/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100378
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■固有の法律の不存在
現在の日本の終末期医療については,医療に即した法律が存在していない。そのため,医師の多くが困惑しているのが実情であろう。
医療界では,この状況を打開していくため,諸々の報告書を作成したり,ガイドラインを作成している。しかし,甚だ残念ではあるが,それらの試みは,いずれもいまだ法的効力を有するものとはいえない。日本集中治療医学会の「集中治療における重症患者の末期医療のあり方についての勧告」*1(2006年8月),厚生労働省の「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」*2(2007年5月),日本救急医学会の「救急医療における終末期医療に関する提言(ガイドライン)」*3(2007年11月),日本医師会の「終末期医療に関するガイドライン」*4(2008年2月),日本学術会議臨床医学委員会 終末期医療分科会の「終末期医療のあり方について─亜急性型の終末期について─」*5(2008年2月)など,いずれも法的効力という観点では同様である。
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