特集 外傷
11.外傷診療における画像診断とIVR
松本 純一
1
,
船窪 正勝
1
,
山下 寛高
1
,
服部 貴行
2
Junichi MATSUMOTO
1
,
Masakatsu FUNAKUBO
1
,
Hirotaka YAMASHITA
1
,
Takayuki HATTORI
2
1聖マリアンナ医科大学 救急医学
2国立病院機構災害医療センター 放射線科
pp.599-604
発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100329
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
近年の画像診断の進歩,特に多列検出器型CT multi-detector row computed tomography(MDCT)の導入により,外傷診療における画像診断の位置づけは格段に高くなったはずであるが,画像診断が有効活用されていない施設は多いと思われる。その理由として,外傷診療担当医の画像診断への理解不足と放射線科医の外傷診療への関与不足が挙げられよう。救急医にはやらなければならないことが山ほどあり,通常の診療で,また,それほど困っていない状況下で画像診断のスキルをレベルアップする余裕はないであろうし,一方,放射線科医の人数は救急診療以外のことをこなすにも不十分のようである。こうした状況のために,救急診療,特に外傷診療における画像診断のレベルは残念ながら低いと言わざるを得ない。今のところ放射線科医の十分な関与は期待できず,外傷診療のレベルを上げるには現場の医師がその能力を伸ばすほうが現実的であろう。
外傷初期診療における画像診断のうち,胸部,骨盤,および頸椎の単純X線写真についてはすでに多くの成書にも書かれており,確立された概念や実践方法が共有されやすい状況にある。そこで本稿では単純X線写真については省略し,次のステップで利用される診断・治療手法として,CT検査と治療的放射線医学 interventional radiology(IVR)を外傷診療で有効活用するために理解しておくべき重要事項を解説する。
Copyright © 2010, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.