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2002年に,自己心拍再開return of spontaneous circulation(ROSC)後で初期心電図が心室細動ventricular fibrillation(VF),心室頻拍ventricular tachycardia(VT)の場合に,低体温療法を行うことで転帰が改善することが,2つの無作為化比較試験(RCT)1,2)により示された。2012年には,J-PULSE-HYPO study3)で日本の低体温療法の現状が報告され,ROSC後の管理に注目が集まっている。
ROSC後患者の治療はコストが高く4)*1,長期間にわたってベッドを占有することから,すべての患者に一様に行うわけにはいかない。どのような患者にROSC後の治療を行うかが,集中治療医にとって重要な課題となっている。
患者の予後を予測するうえで,現在注目されている主要なものとしては,バイオマーカー,脳波,画像検査がある。しかし,神経特異エノラーゼneuron specific enolase(NSE)などのバイオマーカーは保険適用がないうえに,すぐには検査結果が得られない。また,脳波については,24時間対応できない施設が多いなどの問題がある。
その点では画像検査,特に脳CT(場合によっては脳MRI)は,日本の救命救急センターを有する病院のレベルであれば,24時間365日いつでも施行でき,すぐに結果が得られる検査である。この迅速性,簡便さが画像診断の優位な部分であり,利用される理由である。では,これらの脳画像検査はどの程度予後予測でき,マネジメントに役立てることができるであろうか。症例を交えて過去の文献をレビューしていく。
Summary
●低酸素脳症は,CTやMRIでは脳浮腫として描出され,主に大脳灰白質,大脳基底核に変化が生じる。
●脳CT,脳MRI(拡散強調画像,ADC)の低酸素脳症の所見によって,神経学的な予後不良を予測できるかもしれない。
●脳CTでは「GWR(灰白質CT値/白質CT値)<1.14〜1.2」「DCW(灰白質CT値-白質CT値)<5.5」「mASPECTS<13」,脳MRIでは基底核のADC値が0.6〜0.7×10-3mm2/secを下回ると神経学的に予後不良としている研究が存在する。
●しかしながら,脳画像のみで予後予測できるほどのデータはそろっていない。現時点では他の臨床情報を加味し,総合的に判断をすべきである。
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