特集 外傷
12.外傷管理のピットフォール
藤田 尚
1
Takashi FUJITA
1
1帝京大学 救急医学
pp.605-614
発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100330
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
本稿では外傷管理においてピットフォールとなる見逃し損傷,脂肪塞栓症対策,術中術後の出血について説明し,具体例を挙げて対策を論じる。最も注意しなければならない見逃し損傷に関しては,英語では“overlooked injury”と“missed injury”の2つの言葉があり,日本語ではどちらも「見逃し損傷」と訳される。
overlooked injuryは診断に至っていない損傷の総称であり,missed injuryは診断に至るまでに時間がかかった損傷のことを指すようである。overlooked injury and delayed diagnosisがmissed injuryと同義である。
つまり,実際に損傷があるのに認知されていなければoverlooked injuryであり,診断がついた時点でmissed injuryとされる。臨床的診断が遅れると生命予後や機能予後に影響を及ぼす。このため医学論文中の論題「見逃し損傷」はmissed injuryであることが多い。本稿では見逃し損傷をmissed injury とoverlooked injury(またはunrecognized injury)に区別して解説する。
Copyright © 2010, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.