特集 重症感染症
12.「特集 重症感染症」解説
林 淑朗
1
Yoshiro HAYASHI
1
1University of Queensland Centre for Clinical Research
pp.209-211
発行日 2010年1月1日
Published Date 2010/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100277
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目次を見て「意外」と思われた方も少なくないかもしれないが,本特集号は「重症感染症」特集と謳っておきながら,「人工呼吸器関連肺炎」などのICUで遭遇する代表的な感染症の章もなければ,「MRSA」などのICUで問題となる薬剤耐性菌の章もない。これまでにも集中治療関連の雑誌や書籍に感染症をテーマにしたものは少なくないが,疾患別または微生物別のアプローチが主体である。
もちろん,このようなアプローチの有益性は否定しない。しかし,実際の診療の場面では,状態の安定化をはかりながらも,症状や病歴を手掛かりに(微生物学的)鑑別診断を挙げ,診断(除外診断も含めて)に必要な検査を行い,empiricな治療も開始しなければならない。重症感染症では,答が得られる前のこの時期をいかにマネジメントするかで勝負が決まってしまうことも多い。非感染症も含めて総合診断的な視点が極めて重要であるため,このような場面では感染症科医へのコンサルテーションが大いに役立つ。しかしながら,日本の現状では,感染症科医へのアクセスも限定的である。この点において,日本の集中治療医には,このような状況に対処する臨床能力が余計に求められるともいえる。本特集号は,この部分を補強することを主眼としている。
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