特集 重症感染症
11.免疫不全と重症感染症―(9)慢性腎不全患者における重症感染症
渥美 宗久
1
,
藤田 芳郎
2
Munehisa ATSUMI
1
,
Yoshiro FUJITA
2
1トヨタ記念病院 腎・膠原病内科
2中部ろうさい病院 リウマチ膠原病(腎・感染症)科
pp.199-207
発行日 2010年1月1日
Published Date 2010/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100276
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慢性腎不全患者における感染症診療も,「集中治療医のための感染症診療の原則」*1と同様に行えばよい。すなわち,どこの臓器に炎症があるかを探すことから始まる。皮膚軟部組織感染症,髄膜炎などの中枢神経系感染症,肺炎,心内膜炎などの心血管系感染症,胆道感染症,尿路感染症,骨関節感染症,人工物の感染など,「炎症臓器探し」を,緊張感を持ってはじめることは他の患者と何ら変わることはない。そのうえで特に注意すべきことは以下のものである。①慢性腎不全の原因として糖尿病が多いこと,すなわち「糖尿病患者における重症感染症」*2に注意すること,②血液透析患者では血液透析を受けるためのルートである「バスキュラーアクセス」の感染症およびそれに関連する心内膜炎などの心血管系感染症や骨髄炎などに注意すること,③透析導入の時期の前後では結核感染症が多いこと,④囊胞腎の患者では腎囊胞や肝囊胞の感染が時にみられること,⑤腹膜透析患者の腹膜炎に注意すること,そして⑥原因菌からみると黄色ブドウ球菌と結核菌が多いこと。本稿では編集部の依頼にそって,重症感染症である血流感染症を引き起こす,血液透析患者のバスキュラーアクセス感染症と腹膜透析患者の腹膜炎を中心に述べる。
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