特集 AKI
5.AKIの予防,治療,管理
(3)血管作動薬―ドパミン,ノルアドレナリン,バソプレッシンの腎臓への影響を考える
森松 博史
1
Hiroshi MORIMATSU
1
1岡山大学病院 集中治療部
pp.523-529
発行日 2009年7月1日
Published Date 2009/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100247
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ICUでは,循環動態の維持を目的として,血管作動薬の投与が頻繁に行われている。しかし,その適応,使用法に関する統一した見解は存在せず,各施設によってばらつきがあるのが現状である。sepsis(敗血症)治療に関する各ガイドラインにおいては,いくつかの血管作動薬の使用法に関する推奨度が示されているが,それらに関するエビデンスのクオリティは決して高いものとはいえない1,2)。
一方,急性腎傷害(AKI)はICUにおける臓器不全の代表的なものの1つであり,その発生は患者の予後に大きく影響するといわれている3)。AKIの発生原因の1つに低血圧や低心拍出量といった循環動態の変動が挙げられる。これらの循環動態の変動の治療に血管作動薬が用いられ,その選択が腎機能に影響するとされてきた。そのなかでも,腎血管を拡張させるものは腎臓を保護し,腎血管を収縮させるものは腎臓には害であるという,誤った固定観念がいまだに根強くあるのは否めない。
本稿では,ICUでよく使用されている昇圧薬であるドパミン,ノルアドレナリン,バソプレッシンの3剤を取り上げ,これらの血管作動薬の急性AKIに対する影響を概説する。
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