Japanese
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特集 モノアミン系
ノルアドレナリンと視覚中枢
Noradrencrgic control of the visual centers' activity and plasticity
津本 忠治
1
,
佐藤 宏道
1
Tadaharu Tsumoto
1
,
Hiromichi Sato
1
1金沢大学医学部生理学数室
pp.107-116
発行日 1983年4月15日
Published Date 1983/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904512
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脳内視覚中枢──外側膝状体背側核(dorsal lateral geniculate nucleus,LGN),大脳皮質視覚領及び膝状体外視覚路の中心的存在である四丘体上丘──は,青斑核より豊富なノルアドレナリン(NA)線維の投射を受けていることが,1960年代に開発された組織螢光法1)等により明らかとなった2〜5)。それではこのNAはそれらの視覚中枢において如何なる働きをしているのであろうか?NAの微小電気泳動投与法により1960年代から70年代にかけて試みられた夥しい実験では,残念ながら,ある実験では抑制的作用が,次の実験では促通的作用が報告されたりして結果が一致せず,上記の疑問に対する明確な答を提出する事ができなかった。注意すべきことは,これらの実験はほとんど全てが視覚中枢ニューロンの自発活動あるいは薬物で誘発した活動に対するNA投与効果をみたものであり,視覚中枢ニューロン本来の機能である光反応性に対する効果を充分に解析したものではなかったという点である。このような観点に立ち,又新しいNA拮抗薬を用いての研究が1980年前後に精力的に行われ,現在,視覚中枢におけるNAの機能的意義の全貌がかなりの程度に迄明らかとなってきた。
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