特集 AKI
9.「特集 AKI」解説
(2)血液浄化を行う前に集中治療医として知っておくべきAKIの常識
讃井 將満
1
Masamitsu SANUI
1
1自治医科大学附属さいたま医療センター 麻酔科・集中治療部
pp.617-618
発行日 2009年7月1日
Published Date 2009/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100230
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言うまでもなく,集中治療医学において急性腎傷害(AKI)はメジャーな分野の1つである。では「集中治療におけるAKI」「AKIの集中治療」というと何を想像するであろうか。そもそも学生やジュニアレジデントは,「集中治療=血液浄化などの回しもの(体外循環)」というイメージを持っているらしい。これは出所がはっきりしない単なる噂のたぐいであるが,確かに集中治療室は手術室と並んで機器類を頻用する医療分野であり,これらの「回しもの」に登場を願う場面は多い。
しかし,「AKIの集中治療=血液浄化」では決してない。集中治療医はAKIの病態を理解し,リスクを認知し,増悪因子を避けて予防や早期発見に努め,いざAKIに至ってしまったら血液浄化以前にどのような介入ができるのか知っておかなければならない。また,“常識”とされる治療法に“常識”たる根拠が備わっているのか,検証しておかなければならない。ICUで乏尿,無尿の患者をみたら,ただ何も考えずに容量負荷を行い,利尿薬を使い,尿がでなれば血液浄化を行う。これが「AKIの集中治療」のすべてであるとしたら,おそらく「AKIの集中治療」の魅力の10分の1も享受していないだろう。
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