特集 AKI
7.薬物と腎臓
(2)腎不全時の薬物投与の実践的知識
平田 純生
1
Sumio HIRATA
1
1熊本大学薬学部附属育薬フロンティアセンター・臨床薬理学分野
pp.603-610
発行日 2009年7月1日
Published Date 2009/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100227
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■どのような薬物が腎障害で蓄積するか?
薬物の排泄機構:一般的に水溶性薬物は腎排泄性
腎臓は薬物を排泄する臓器として最も重要な臓器である。腎臓を介する排泄過程は,糸球体濾過,尿細管分泌による尿細管腔中への排泄,管腔からの再吸収の3つの過程によって決定される。つまり,
尿中排泄量=
糸球体濾過量+尿細管分泌量-尿細管再吸収量
で示される。
一般的に水溶性薬物は糸球体濾過された後でも尿細管で再吸収されないため,腎排泄性薬物が多いが,脂溶性薬物は糸球体濾過された後,近位尿細管の刷子縁膜によってすみやかに再吸収されるため,尿中に排泄されることはなく,再び全身循環に戻る(図1)。全身循環に戻った脂溶性薬物は肝臓で主にチトクロームP450による代謝反応を受け,水溶性を増した代謝物になる。さらに,第2相反応により抱合化反応を受け,非常に極性の高い抱合体となって尿中に排泄されやすくなる。
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