講座 臨床薬理学 薬物療法の考え方・13
腎機能障害時の薬物投与法(1)
中野 重行
1
Shigeyuki Nakano
1
1愛媛大学医学部・薬理学
pp.1501-1506
発行日 1982年8月10日
Published Date 1982/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217898
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薬物療法を行うとき,腎臓はその機能を正しく評価しておかなければならない重要な臓器の1つである.その理由として,次のようなことがあげられる.先ず第1に,腎臓は生体内に投与された多くの薬物あるいはその代謝産物の生体外への主たる排泄のための臓器であり,したがって,腎機能障害があれば,これらの薬物(parent drugs)あるいはその活性代謝産物(active metabolites)の尿中への排泄に影響を及ぼし,その結果として薬物の作用の強さ(intensity)と持続時間(duration)が変わりうるからである.第2に,腎臓は多くの薬物あるいはその活性代謝産物により障害を受けることがあり,その結果として腎機能障害を生じうるからである.
そこで,腎機能障害時における薬物投与設計はどのように考え,どのように工夫したらよいか,さらには,どのような薬物投与中にどのような腎機能障害が生じうるのか,といったことを考えてみることにしよう.
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