講座 臨床薬理学 薬物療法の考え方・15
腎機能障害時の薬物投与法(3)
中野 重行
1
Shigeyuki Nakano
1
1愛媛大学医学部・薬理学
pp.2597-2602
発行日 1982年12月10日
Published Date 1982/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218084
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腎機能障害時の薬物投与法に関しては,次のようなことが重要である.すなわち,第1に,腎臓は多くの薬物あるいはその代謝産物の主たる排泄にたずさわる臓器であるので,腎機能障害時にはこれら薬物あるいはその活性代謝産物の排泄が遅延しうること.したがって,腎機能障害時には薬物投与設計に工夫を加える必要が生ずる.第2に,薬物の中には腎毒性を有するものがあり,そのために腎機能障害を生じうること.したがって,腎機能障害時には,これら薬物の投与はさしひかえ,代りの薬物を選択することが望まれる.
腎機能障害時における薬物投与設計に関する基本的な考え方,およびその具体的な方法については,前回(19巻10号)詳細に述べた.今回は,腎毒性を有する薬物の種類,腎機能障害時の薬物投与設計を行う際に活性代謝産物の存在を考慮しなければならない薬物の種類,その他補足的事項について記すことにする.
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