特集 Sepsis
4.病態生理各論(5)一酸化窒素(NO)とsepsis
張 京浩
1
Kyungho CHANG
1
1東京大学医学部 麻酔学教室
pp.257-266
発行日 2009年4月1日
Published Date 2009/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100191
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
■Who is NO?
一酸化窒素 nitric oxide(NO)と聞くと,読者の方々はまず何を連想されるであろうか。NOは血管内皮由来弛緩因子endothelium-derived relaxing factor(EDRF)の本体であり,生理的に血管内皮から分泌されて血管拡張を引き起こし,これは奇しくもノーベルが開発したダイナマイトの原料であるニトログリセリンの冠血管拡張作用も説明するという発見に対して,1998年にノーベル生理学医学賞が授与された。ただし,言うまでもなく,NOの機能解明に対してノーベル賞が授与されたということは,その生理的機能が血管拡張作用にとどまらず,より広範で重大な生理作用に深く関連していたからにほかならない。実際,ノーベル賞のホームページを見ると,NOは,心血管系における血管拡張作用に加えて,すでに当時から神経伝達物質,免疫系における生体防御因子,陰茎海綿体の膨張に関与する生殖系での役割,さらに新生児肺高血圧の治療における吸入療法の有用性など,さまざまな生理作用を持つ生体内シグナル伝達分子として紹介されている*1。
Copyright © 2009, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.