特集 Sepsis
4.病態生理各論(4)HMGB-1の役割
高橋 将文
1,2
Masafumi TAKAHASHI
1,2
1信州大学大学院 循環器病態学分野
2自治医科大学 分子病態治療研究センター
pp.249-255
発行日 2009年4月1日
Published Date 2009/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100190
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sepsisは,細菌感染によって引き起こされる全身性炎症反応症候群systemic inflammatory response syndrome(SIRS)である。sepsisでは,血中のインターロイキンinterleukin(IL)-1や腫瘍壊死因子tumor necrosis factor(TNF)-αといった炎症性サイトカインが早期に上昇し,いわゆる高サイトカイン血症を認めることから,これがsepsisにおける炎症反応の機序と考えられていた。1999年にWangらは,sepsisで血中IL-1やTNF-αがピークを過ぎた後に上昇してくる後期の炎症メディエータとしてhigh mobility group box-1(HMGB-1:別名HMG-1,amphoterin)を同定し,HMGB-1を阻害することによってマウスsepsisモデルの生存率を著明に改善することを見いだした1)。HMGB-1は元来,核内タンパク質として転写調節に関与することが知られていたが,この発見を契機として炎症反応における細胞外HMGB-1の役割が注目されるようになり,現在ではHMGB-1を分子標的とした新たな治療法の開発も行われている2~7)。
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