特集 神経系に作用する薬物マニュアル1998
Ⅳ.代謝的に作用する薬物
一酸化窒素合成酵素
横井 功
1
Isao Yokoi
1
1岡山大学医学部分子細胞医学研究施設神経情報学部門
pp.478-480
発行日 1998年10月15日
Published Date 1998/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901643
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L-arginine(Arg)からNOを合成する一酸化窒素合成酵素(NOS)は,いろいろな種類の細胞に備わっている。このため,一般にはNOSをその性質から,1)血管内皮細胞に存在するeNOS,2)lipopolysaccharide(LPS)などにより誘導されるiNOS,および3)構成酵素であるcNOSとに大別している。神経細胞に含まれるNOSはcNOSであるが,nNOSあるいはbNOSと呼ぶことがある。NOSはNOの合成のために基質であるArg,補酵素のFAD,FMN,tetrahydrobiopterin(H4BP),さらにNADPH(酸素供給源)を必要とする。また,eNOSとcNOSは酵素分子に結合したcalmodulinにCa2+が結合することにより活性化される。従って,NOSと基質の結合に影響する薬物(特異的NOS阻害剤)のほか,これらの補酵素などの代謝に影響を与える薬物(非特異的NOS阻害剤)もNOS活性に影響を与える。本稿では市販薬物に的を絞って紹介する。
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