特集 Sepsis
5.疫学的アプローチ―頻度,原因菌,感染源,予後
山根 一和
1
Kunikazu YAMANE
1
1国立感染症研究所 細菌第二部
pp.267-274
発行日 2009年4月1日
Published Date 2009/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100192
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sepsisは,細菌などの感染により,全身性炎症反応症候群systemic inflammatory response syndrome(SIRS)が引き起こされている状態であり,適切な治療がなされなければseptic shock,多臓器不全に急速に進行する,非常に緊急性の高い疾患である。米国では,sepsisはすべての死亡原因の第10位に位置し,CCU以外のICUにおける死亡原因の筆頭となっており,集中治療分野では避けて通ることのできない重要な疾患である1,2)。
sepsisの疫学調査は主に欧米で盛んに行われており,sepsisの頻度,原因菌や感染源と予後の関係,その他予後に影響する因子の検討がなされている。我が国においても,2000年より厚生労働省が主体となって院内感染対策サーベイランスJapanese Nosocomial Infection Surveillance(JANIS)が行われており3),sepsisに関連する情報としては,ICU部門では“ICUにおけるカテーテル関連血流感染症およびsepsisの頻度”について,検査部門では“血液から分離された菌株の種類と割合”について,継続的なサーベイランスが行われている。本稿では欧米のデータおよびJANISのデータを紹介し,sepsisの頻度,原因菌や感染源の特徴および予後に影響を与える因子について概説する。
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