特集 Sepsis
4.病態生理各論(3)sepsis発症におけるパターン認識受容体(PRR)の役割
熊谷 雄太郎
1
,
審良 静男
1
Yutaro KUMAGAI
1
,
Shizuo AKIRA
1
1大阪大学 免疫学フロンティア研究センター 自然免疫学研究室,微生物病研究所 自然免疫分野,グローバルCOEオルガネラネットワーク医学創生プログラム
pp.239-247
発行日 2009年4月1日
Published Date 2009/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100189
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1980年代頃からsepsisの病態が明らかになるにつれ,sepsisは全身性の炎症反応であるSIRS(systemic inflammatory response syndrome)で,感染症に起因するものであることが明らかになった。sepsisやSIRSによる致死リスクは,炎症をいかにコントロールするかにかかわっていると考えられている。
一方,近年になり,体内に侵入した病原体を認識して免疫反応を引き起こすメカニズムとしての自然免疫系の役割が明らかになってきた。自然免疫系のなかでも,感染に応答して炎症反応を引き起こすメカニズムとして重要なものにトル様受容体Toll-like receptor(TLR)がある1)。TLRは病原体付随分子パターンpathogen-associated molecular pattern(PAMP)を認識するパターン認識受容体pattern recognition receptor(PRR)である。
本稿ではこれまでのPRRに関する研究結果を概説する。主にTLR2,TLR4の2つの分子に焦点を絞り,TLRのシグナル伝達経路,リガンド認識と感染防御における役割について,また近年,重要性が明らかになりつつあるPRRの1つ,nod-like receptor(NLR)についても概説する。これらの知見はマウスのモデルを使った研究結果によって得られたものが主であるが,現在得られている,ヒトにおけるTLRの役割についての知見も紹介し,今後sepsisなどの発症メカニズムを分子レベルで考えていくうえで必要となる,基礎的な知識を提供することを目的とした。
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