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米国のICUにはレジデントとフェローを助けてくれる縁の下の力持ちがたくさんいる。そのなかでも特に重要な役割を果たしているのが,集中治療専門看護師 critical care nurseと呼吸療法士 respiratory therapist(RT)だろう。日本では聞きなれないRTという人たち,彼らは呼吸療法にかかわるすべての機器の管理から,酸素吸入や呼吸器を使用している患者の呼吸管理全般まで行う。外来や一般内科病棟では,RTは患者への吸入薬の使い方の指導も行い,肺機能検査も行う。病院によって彼らの職務内容は少しずつ異なる。RTが気管挿管を行う病院もあれば,当院のような教育病院では,レジデントとフェローに経験を積ませるために,あえてRTの職務内容が制限されている病院もある。
それでは,RTは具体的にICUでどのような仕事を行っているのだろうか。ICU担当のRTは,朝の回診時に挿管患者のその日のプランを把握する。その後,挿管患者を最低3~4時間おきに見て回る。例えば,朝の回診時に,Aさんに自発呼吸トライアル spontaneous breathing trial(SBT)を行い,その結果によっては抜管するというプランを立てたとする。するとチームが他の患者の回診を続けている間に,RTが看護師と一緒にSBTを行い,動脈血液ガスを採取し,その結果を医師に持ってきてくれる。その時点で医師はAさんの呼吸状態を確認する。医師の指示後,RTが抜管そのものを行うことも可能である。SBTや抜管後に問題が生じたら,医師がその場に居合わせなくても,RTがきちんと患者を診察し,応急処置を行ったうえで医師に事細かく報告をしてくれる。回診だけでも4~5時間かかり,その回診の最中にも次々と患者が運び込まれてくる内科ICUで,時に1日4~5人のも抜管が可能なのはRTがいるからである。
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