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米国に来て今年で12年目。現在私は,アメリカ大陸で一番大きな医療センターがある,テキサス州ヒューストン市の州立大学付属癌病院の集中治療室でRegistered Respiratory Therapist (RRT)として働いて6年目になります。こちらに来た当初は,呼吸療法士Respiratory Therapist(RT)という職業すら知りませんでした。それが,友人の父親がRRTで,その話を聞くうちに興味が沸き,この資格に挑戦してみることに…。
日本では馴染みのない職種ですが,フィリピン,台湾,インドなど,アジアの国々でも活躍の場が広がってきています。米国では 医師からの強い信頼もあり,医療の現場で大きな役割を果たしています。仕事内容としては,一般病棟,ICUが主で,そのほかに,常に酸素治療が必要な患者の酸素コンセントレータやCPAPの点検,吸引などの在宅ケア,呼吸機能検査,患者の運搬,睡眠時無呼吸症候群sleep apnea syndrome(SAS)の睡眠ポリグラフ検査polysomnography(PSG),ネブライザー療法,動脈血採取,肺理学療法,気管挿管(医師の指示がなくても,コードブルーで医師不在時は挿管できます),人工呼吸器の管理,吸引,抜管への評価,患者の呼吸パターンの監視,分析テストなどです。日本の呼吸療法認定士と重なる部分も多いですが,米国医療機関でのRTの地位はしっかりと確立しており,病院のどこにでも見かけられ,活躍の幅の広い仕事です。
RTは,1940年イリノイ州のシカゴで,酸素の管理をしていた人たちの集まりで構成されました。70年以上経過した今では,80%の病院で11万人以上のRTが働いています。米国政府の統計では,2018年には,高齢化社会のため21%以上増員され,成長が期待されています。
RTのライセンスとしては, CRT(Certified Respiratory Therapist)とアドバンスレベルのRRTの2つがあります。資格試験を受けるには,看護師と同様,2年以上の短大/大学卒の学歴が必要です。また,RRT の受験資格にはCRTのライセンスを取得しておく必要があります。ICUで働くには, RRTライセンスがほとんどの病院で必要となります。日本の呼吸療法認定士の資格条件としては,看護師または理学療法士として2年以上の経験が必要となりますが,米国では必要ありません。
以下,ICUでのRTの役割を中心に,お話しいたします。
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