特集 不整脈
4.心房細動治療の科学と実践:洗練された心房細動治療とは?
(2)集中治療における心房細動の成立要因を考える―発生機序,リモデリング,治療の理論
西原 崇創
1
Shuzo NISHIHARA
1
1聖路加国際病院 循環器内科
pp.759-764
発行日 2009年10月1日
Published Date 2009/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100156
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心房細動は,循環器専門医のみならず,広く一般医も理解すべき不整脈である。1902年,Einthoven1)によって初めて心房細動の心電図記録がなされて以来,極めて一般的な不整脈であるにもかかわらず,いまだその成因・治療について解決されたとはいえない状況にある。歴史的には,1909年にジギタリスの効果が報告され,続いて1914年にキニジンの効果が報告されている。1900年代初頭には,すでに現在の治療の主流であるrate controlとrhythm controlという概念が存在した。この2者の選択は,現在でも議論が絶えない部分である。心房細動を考えるうえで何がこれほど難しくしているのか。これについては,(1)心房細動の成因が多種多様であり,細胞レベルのメカニズムは徐々に解明されてはいるものの,個々の症例にどの要素がどの程度関与しているのかについては不明な点が多いこと,(2)無症候例も多く,発生時期が正確には把握できないため,病状・病期が個々でまったく異なること,などが問題として挙げられる。
本稿では,心房細動の成因の概略を理解し,予防・治療を理論的に解釈できるように,発生・維持という2つの観点から電気的リモデリングならびに構造的リモデリングについても触れる。さらに,集中治療へどのように還元できるのかも考えてみたい。
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