連載 ICUフェローからのメッセージ
第5回:米国の脳死肝移植
深澤 恭太
1
1マイアミ大学 麻酔科 移植麻酔アテンディング
pp.886-888
発行日 2009年10月1日
Published Date 2009/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100137
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
今年7月13日,制定から12年の年月を経て臓器移植法改正法案が可決されました。背景には,臓器提供に関する制約が厳しく脳死臓器移植数が伸び悩んでいる点,また今年5月WHO総会において,臓器の不正売買防止を目的として,国外における移植の原則禁止が決議される見込みが高まった点(実際には新型インフルエンザのため決議は翌年に延期)などがあります。
この新しい改正法案の下では新たに,①年齢を問わず(小児を含めて),②脳死を一律に人の死とし(臓器提供の意思がある場合に限らず),③家族の同意があれば,書面による本人の同意がなくても移植できるようになります。これにより国内では今後,脳死臓器移植が増加し,特に現在12000人といわれる移植待機患者の移植への道が開かれることが期待されるとともに,命のリレーともいえる移植医療に少しずつ道は開かれてくるように思われます。そこで本稿では,米国での脳死肝移植の流れを紹介します。
Copyright © 2009, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.