特集 不整脈
8.「特集 不整脈」解説
(2)「集中治療医向けの不整脈の教科書」を目指して
山口 大介
1
Daisuke YAMAGUCHI
1
1東京大学医学部附属病院 救急部集中治療部
pp.857-864
発行日 2009年10月1日
Published Date 2009/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100131
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世にはすでに数多の不整脈特集の本が溢れている。ありていに言えば不整脈は,それほど若手集中治療医が渇望する分野ではないのかもしれない。そうしたなかで,今なぜ,あえて不整脈特集なのか。今なぜ,一見して集中治療とは縁遠い不整脈特集を組むのか。
その答は,循環器科医が内科診療で取り扱う不整脈と,我々が集中治療の現場で取り扱う不整脈が大きく異なるからである。もちろん,Sicilian Gambitの知識とそれに基づいた抗不整脈薬の選択,不整脈心電図の読解力,非薬物療法についてなど,根本の知識においては循環器内科医のそれとは大きく異なるわけではない。しかし,集中治療医が不整脈診療を実践するフィールドや患者背景は,例えば,不整脈そのものが極めて重篤であったり,その他の侵襲や,それに基づく交感神経過緊張であったり,患者の重症度が高かったり,複数の不全臓器を呈していたりと,循環器領域のそれとは大きく異なる。それ故,今,世にある循環器内科の立場からのエビデンスや教科書をそのまま当てはめることはできないと考える。つまり,我々は我々なりの,集中治療という現場に通用する不整脈診療の知識を携えて,不整脈に立ち向かわなければならない。
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