Japanese
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特集 不整脈
不整脈と不整脈との相関
Correlation between Arrhythmias
渡部 良夫
1
Yoshio Watanabe
1
1名古屋保健衛生大学心臓血管研究所
1Fujita-Gakuen Univ., School of Med.
pp.291-297
発行日 1974年4月15日
Published Date 1974/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202612
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不整脈症例では,例えば心房期外収縮であるとか,第2度の房室ブロックといった,1種類だけの調律異常を示すものが最も普通であろうが,一方では2種類以上の不整脈を相次いであるいは同時に(即ち1枚の心電図中に)示すものも決して少なくない***。この後者のように同一症例で2種以上の調律異常が見られる際に,その現れ方には幾つかの場合が考えられる。即ち,(A)何らの因果関係をも有しない2種以上の不整脈が全く偶発的に共存する場合,(B)互いに類縁関係にある二つの不整脈の間で移行が見られる場合,(C)特定の病態生理学的因子が,同時に2種以上の不整脈を起こす場合,(D)第1の調律異常が誘因となって,第2の不整脈の発生を促す場合等である。
これら四つの場合のうち,(A)の偶発的な共存については特に説明の必要もないであろうが,ただ現在のわれわれの知識からは一見偶然に同時発生したと思われるような,2種の不整脈の間に,果たして厳密な意味で(C)または(D)の関係が成立っていないかどうかは,しばしば疑問であろう。次に(B)の互いに類縁関係にある調律異常としては,例えば心房粗動と心房細動が挙げられる。この両者の間に移行があることは,心房粗細動(または不純粗動)という診断名の存在することからも明らかである。同様にして発作性心室頻拍と心室細動(および粗動)との鑑別も,必ずしも容易ではなく,それらの混在することがありうる。
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