特集 不整脈
9.あとがき
集中治療医に求められる素養とは何か
讃井 將満
1
Masamitsu SANUI
1
1自治医科大学附属さいたま医療センター 麻酔科・集中治療部
pp.865-866
発行日 2009年10月1日
Published Date 2009/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100132
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集中治療医の素養その1は,急性期重症患者の総合内科医としての素養である。ICUで起こる一般的な問題について,その鑑別を挙げ適切な対応ができなければならない。私は,しばしば「どのような分野の疾患でも80点が取れる能力」と表現する。我々が相手にする疾患は多様で,心臓外科手術後で補助循環を必要とする患者,重症多発外傷の患者,血液疾患・膠原病・アレルギーなど究極の内科疾患,果ては産科患者まで,実に幅が広いが,この急性かつ重症患者を診る80点の能力はユニバーサルに通用する。
素養の2番目は,ある専門分野について専門医にひけを取らない臨床能力である。毎朝の回診でチームの意思決定を行うのがICUの基本スタイルであるが,ある分野の問題が生じた時に,その分野について知識を持つメンバーが議論をリードすることになる。もちろん,必要とされる知識は専門医と同等で,治療法の吟味や選択までできなければならない。残念ながら,高度に専門化した現代医療で,1人の医師がすべての専門分野に関して高度な知識を持つことは不可能であり,チームのメンバーがそれぞれ得意な専門分野を持っていればよく,それによってチームの効率が上がる。集中治療医というアイデンティティーが確立されていない日本では,専門性を持つことにより,対外的に潰しがきく,食いっぱぐれがない,という裏事情もある。
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