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心房細動(AF)は一般的に発作性心房細動 paroxysmal AFから始まり,発作と停止を繰り返し経過していく。長期的には発作の頻度は増加し,その持続時間は延長していき,やがて停止することのない持続性心房細動 persistent AFから永続性心房細動 permanent AFに移行する。発症初期には,発作性心房細動の薬理学的除細動の効果は比較的良好であるが,罹病期間が長くなるとその効果は減弱し,薬物療法に対しても抵抗性となることが知られている。
これは心房細動自体が心房細動を誘発し,持続させやすくなるという“AF begets AF”1)という言葉で表わされるが,この背景にはリモデリングというメカニズムがあることが明らかとなっている。図1は動物モデルで心房頻回刺激〔burst pacing(ペースメーカによる頻脈刺激)〕を毎日行うことにより,次第に心房細動の持続時間が延びていき,2週間後に持続性の心房細動となる様子を示している。
このリモデリングには,活動電位を形成する心臓イオンチャネルや,細胞間接続を形成するgap junctionなどのタンパクの発現量の変化による電気的リモデリングと,心筋細胞および間質の線維化といった構造的リモデリングが存在することが最近の研究によって明らかになっている。これら2つのタイプのリモデリングを念頭におくことは重要である。
電気的リモデリングに対しては,メカニズムを考慮した抗不整脈薬の使い分け,構造的リモデリングに対しては,いまのところ,アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬やアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)によるupstream治療によるアプローチが試みられている。
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