Disopyramideによる心房細動を合併する後天性弁膜症開心術後の治療—特に心房細動再発防止効果について

Effects of Disopyramide on operated valvular heart disease with atrial fibrilation:Protective effects of Disopyramide on recurrence of atrial fibrilation

　Disopyramide（Rythmodan^R）は1951年H．W．Sauseにより合成され，1962年Molkersら^1）によりその抗不整脈効果が報告された。薬理学的にはQuinidineやProcainamideと同様膜安定作用を有するVaughan　Williamsの分類上^2）I-Aに属する抗不整脈剤で心室性並びに上室性不整脈に対して有効である^3）。心房細動（af）の治療においては，比較的発症早期のafに対してはdisopyramideにより洞調律（SR）に回復する率が高いが，慢性に対してはdisopyramideによる効果は少くMetzgerら^4），Deruellesら^5），は各々16.7％，42.8％が除細動効果を示したと報告している。後天性弁膜症にafの合併頻度は高く，afを合併すれば心機能を低下させると共に血栓形成の誘因となり，af合併に対する対策はきわめて重要な問題である。しかしながら，後天性弁膜症の開心術によるafの除細動効果に関する報告は少く，またdisopyramideの除細動後のaf再発予防効果に関する報告も少い。