症例ライブラリー 今日もまたいつもの腹腔鏡
巻頭言
水谷 光
1
1千船病院 麻酔科・手術中材センター
pp.725
発行日 2024年8月1日
Published Date 2024/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202988
- 販売していません
- 文献概要
「いくら低侵襲いうたかて,こんな体位でこんな長い時間の手術やったら弊害のほうが大きいんとちゃうか?」と言いたくなることもあるが,開腹より腹腔鏡下手術のほうが術後の回復は早いようである。麻酔科医は,執刀医の趣味や娯楽に付き合う義務はないが,患者の安全を守る義務はある。
多くの施設で毎日のように行われるラパタン,ラパラン,ラパヘルは比較的短時間で,特別な注意を払うこともなく麻酔を担当しているかもしれない。しかし合併症の多い患者の長時間の腹腔鏡下手術では,神経をすり減らすだろう。腹腔鏡下手術が生体に及ぼす事象の各論を個別に暗記しているだけでは,目の前で次々と起こることを把握するのは難しい。胸部や腹部の臓器やCO2ガスが,モノとして物理の法則どおりに振る舞うことを理解すれば,起こってしまったことを解釈したり,起こり得ることを予測したりして,次の策を打つことができる。
本症例ライブラリーでは,よくある腹腔鏡下手術での,危ない落とし穴について取り上げる。いつもの手術だが,気を緩めるわけにはいかない。
Copyright © 2024, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.