徹底分析シリーズ 手術室の放射線防護できていますか?
巻頭言
水谷 光
1
1千船病院 麻酔科・手術中材センター
pp.1067
発行日 2022年11月1日
Published Date 2022/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202373
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- 文献概要
本誌2021年12月号の徹底分析シリーズは「手術室での曝露の危険」であった。その巻頭言において,放射線について触れていながら,論稿として取り上げられていなかったことに違和感を覚えた読者がいたかもしれない(目次は下記)。放射線については一つの章では語りきれないので号を改めることにしたのである。したがって今月号は「手術室での曝露の危険」の続編にあたる。前編と合わせて読んでいただきたい。
現在の手術部では,X線透視装置が据置かれたハイブリッド手術室が整備され,心臓血管外科や脳神経外科などの経カテーテル的血管内治療が数多く行われるようになった。整形外科や泌尿器科も昔から透視を多用する。術後の単純X線撮影も日常的である。つまり麻酔科医は,被ばくの多い職種なのである。放射線による健康障害は,針刺しなどとは概念が異なる。被ばくした線量は,たとえ少量であっても減らす手段はなく,その人に蓄積される。そして,さまざまな健康障害をきたし得る。甘くみてはいけない。しかし忌避することはない。正しい知識を備えれば,正しく防護することができる。腕のいい麻酔科医は,質の高い麻酔を提供するだけでなく,自分とスタッフの身を守ることもできる。さあ,いよいよ手術も佳境だ。造影が始まる。今日も患者の状態は安定しているだろうか。防護に抜かりはないだろうか。
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