症例ライブラリー 周術期の高体温
PICC挿入患者の術前高体温
枝長 充隆
1
Mitsutaka EDANAGA
1
1札幌医科大学医学部 麻酔科学講座
キーワード:
カテーテル感染
,
免疫低下
,
感染率
,
PICC留置
,
CLABSI
Keyword:
カテーテル感染
,
免疫低下
,
感染率
,
PICC留置
,
CLABSI
pp.636-639
発行日 2024年7月1日
Published Date 2024/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202963
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■症例
52歳の女性。身長154cm,体重59kg。数か月前に何となく乳房のしこりを自覚したが,仕事の都合でなかなか受診できなかった。数週間前より胸の痛みと咳が出るようになって乳腺クリニックを受診したところ,ステージⅣの右乳癌の診断(多発肺転移)を受け,大学病院に紹介され緊急入院となった。
早速,化学療法のために左尺側皮静脈より末梢挿入型中心静脈カテーテルperipherally inserted central venous catheter(PICC)が留置され,抗がん剤による化学療法が開始された。治療が奏功し,原発巣の右乳房切除術が○月×日(月曜日)に予定された。
既往歴に高血圧,脂質異常症があり,アムロジピン内服中であった。前週の金曜日の午前中に術前外来を受診した際の体温は36.7℃であった。麻酔科医からの問診にて,手術歴や家族歴で特記すべき点はないこと,薬物アレルギーもないこと,Hugh-Jones(H-J)分類Ⅱ度であることからASA-PS分類classⅡとし,麻酔可能と判断された。
手術当日を迎え,手術室の入室時の患者確認時に前額部での体表温を確認したところ,37.1℃であった。手術室入室後に改めて腋窩温を測定したところ,37.3℃を認めた。話をよく聞くと,前日の夜から悪寒1)があったという。喉の痛み,倦怠感,鼻汁,頭痛などの風邪症状をまったく認めなかった。そこで,カテーテル感染を疑ってPICCの穿刺部を確認したところ,発赤と腫脹を認めた。
さて,あなたならどうする?
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