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■症例
49歳の男性。身長175cm,体重72kg。自殺企図による高所からの転落のため,福岡大学病院(以下,当院)救命救急センターに搬送された。到着時,患者は興奮気味,バイタルサインは血圧130/80mmHg,心拍数80bpmで心電図は洞調律,呼吸数22回/min,経皮的末梢動脈血酸素飽和度(SpO2)は室内気下で94%,胸部X線写真は心胸郭比45%で肺野は清,腋窩温36.6℃であった。血液検査結果はいずれも正常値範囲内であった。腰部に強い痛みを訴えており,X線で骨盤骨折を認めた。さらに全身CTでは骨盤以外に損傷は認めなかった。緊急で経皮的骨盤固定術が申し込まれた。
手術室入室後,麻酔はプロポフォール,レミフェンタニル,ロクロニウムで導入,セボフルランとレミフェンタニルで維持した。全身麻酔開始から,患者のバイタルサインは,血圧100〜110/65〜75mmHg,心拍数60〜75bpm,SpO2 99%〔吸入酸素濃度(FIO2)0.4〕,呼気終末二酸化炭素分圧(PETCO2)40〜45mmHg,鼓膜温35.9〜36.5℃で推移し,手術も順調に進行した。術後鎮痛を念頭に,フェンタニルを総量500μg投与した。
手術開始から3時間後,患者のバイタルサインは,血圧140〜150/90〜100mmHg,心拍数100〜110bpm,SpO2 99%(FIO2 0.4),PETCO2 40〜43mmHg,鼓膜温37.9〜38.4℃と発熱を認めた。担当麻酔科医が患者の頭部を確認した際に,著明な発汗に気づいた。麻酔開始からその時点までの尿量は300mLと流出良好であり,尿の性状に異常は認めなかった。
さて,あなたならどうする?
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