徹底分析シリーズ 痛みのモニタリングへの挑戦
コラム:定量的感覚検査(QST)—オフセット鎮痛とCPM
倉田 二郎
1
Jiro KURATA
1
1東京慈恵会医科大学 麻酔科学講座
pp.490-491
発行日 2024年5月1日
Published Date 2024/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202920
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刺激と痛みの関係
刺激の強さと痛みの強さには一定の関係がない。侵害受容が強いはずの病変がまったく痛みを生じなかったり,そのような病変が存在しないのに大きな痛みを生じたりすることがある。刺激と痛みとの関係は,痛みを生み出す刺激閾値,もしくは同じ刺激に対する痛みの強さで測られる。そのような関係を個人ごとに測定する検査が,定量的感覚検査quantitative sensory testing(QST)である。
そんなQSTのうち,内因性鎮痛機構にかかわるとして,最近よく話題になる検査がオフセット鎮痛offset analgesia1)と,conditioned pain modulation(CPM)2)である。生体は不快な情動体験である痛みを感じると,これを抑制しようとする。これが同じ場所で経時的に検出されるのがオフセット鎮痛で,空間的に異なる場所で検出されるのがCPMである。
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