Japanese
English
特集 四肢多発外傷とリハビリテーション
四肢多発外傷に対するCPMの応用
Clinical Application of Continuous Passive Motion (CPM) for the Treatment of Bone and Joint Injuries.
伊藤 邦臣
1
,
大井 淑雄
1
Kuniomi Ito
1
,
Yoshio Ooi
1
1自治医科大学整形外科
1Department of Orthopaedics, Jichi Medical School
キーワード:
外傷
,
連続受動運動(CPM)
,
関節屈伸運動装置
Keyword:
外傷
,
連続受動運動(CPM)
,
関節屈伸運動装置
pp.611-614
発行日 1990年8月10日
Published Date 1990/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106323
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はじめに
外傷,特に関節近傍または関節内外傷に対する治療で,その初期治療に専心する点は関節機能を損なわず治癒せしめる後療法の選択である.関節機能の正常化は,関節可動性を回復し,ゴールに到達するのが大きな要素であることは当然である.そのためには,損傷部や損傷関節が正常組織に近似した柔軟な組織で置換される状態が必要であり,少なくとも関節の可動性を阻害する不良瘢痕の形成を可及的に防止することが大切である.この点から初療後早期より,換言すると損傷部の組織修復の途上から関節運動を関始する意義は大きいと考えられる.また,早期の運動療法は外傷ばかりでなく,関節授動術や人工関節手術のあとにも応用されてよく,成績の向上に役立つ.
当教室では外傷や人工関節手術のあとに関節屈伸運動装置を用して早期から関節受動運動訓練を始め,良好な機能的成績を収めている.関節屈伸運動装置は,医師がプログラムした時限と可動域の条件下で関節の連続受動運動(continuous passive motion; CPM)が可能である.装置のプログラミングが的確になされていれば,運動時に修復組織の再破綻や副損傷が発生する危険はない.また本装置は軽量で容易に設置できる特徴があり,移動が困難な多発外傷患者にもベッド上でCPMを施行できる利点がある.本稿では教室の石塚,鈴木らが報告したCPMの経験を引用し,併せて関節屈伸運動装置(サッターcpm 9000)の概要と文献的考察を述べる.
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